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食品衛生の豆知識 -毛髪混入対策編-
「毛髪混入対策の事例」

イカリ消毒株式会社 
大音 稔

 前回まで、毛髪混入防止のために必要な知識・情報について解説しました。今回は、その情報をもとに、どのような対策が効果的であるかを考えてみましょう。

1. 毛髪混入対策の原則

● 異物混入対策の3原則【作らない・持ち込まない・取り除く】になぞらえて、毛髪混入対策の3原則は次のように言われています。

  • 落とさない:食品製造現場で「落とさない」
  • 持ち込まない:食品製造現場に「持ち込まない」
  • 取り除く:原材料・製品中から「取り除く」

● この中で「取り除く」は食品の種類によっては困難な場合があったり、金属検出器のように精度の高い「毛髪検出器」が存在しないので、どこの食品工場にも当てはまる対策ではありません。

● 「落とさない原則」と「持ち込まない原則」を具体的な対策に置き換えることが重要です。

2. 持ち込まない原則

● 自己管理の徹底

  • 洗髪:最も毛髪が抜ける時
    一方向からではなく多方向から、毎日実施
  • ブラッシング: 20〜30回以上(方向を変えて)、出社前に実施

 下記のグラフは、とある食品工場での「落下毛髪」(床面に落ちている毛髪)の調査結果(全数)です。男子更衣室が圧倒的に他の部屋の数を上回っているのが分かります(女性の従事者が多い現場ですが…)。これは、男性と女性のヘアケア(洗髪・ブラッシング)の差を示しています。つまり、出社前にヘアケアを丁寧にすれば工場へ持ち込む「落下毛髪」を減少させることができるのです!
 自宅で実施することを会社で管理することはできませんが、「食品工場に従事する者」として、洗髪・ブラッシングの実施を協力してもらうだけで、大きな効果を上げることができます。

持ち込まない原則 イメージ

● ルール(入室手順等)をきちんと守る

  • 衣服に付着した毛髪を除去する(エアシャワー、粘着ローラーなど)

 多くの食品工場では、製造現場へ入室前に粘着ローラー掛けやエアシャワーへの入室をルール化していると思います。では、どれくらいの従事者がそのルールを遵守していれば良いでしょうか? 答えは「100%」です!  一人でもルールを守らない従事者がいると、その従事者から約55本の毛髪が抜ける、約10万本のリスクを抱えているわけです。そのうちの1本でも製品に混入したら・・・。

3. 落とさない原則

● 作業前(休憩後・手洗い後などを含む)

  • 作業着・帽子を正しく着用する

 特に帽子は髪の毛のはみ出しがないように、しっかりとかぶらなければなりません。2重で着帽している場合の内帽(ネット帽)も同様です。下図は、外帽をかぶっている状態で、内帽の着用状態を見抜くポイントです。これを参考に、自工場の従事者が正しく着帽しているか調べるとよいでしょう。

落とさない原則 イメージ1

● 作業中

  • 人の動きで着衣・着帽は乱れる
    • 異常がないか常に気を配る
    • 帽子に極力触らない

 作業前に正しく着衣・着帽しても、作業中にずれてきます。定期的に異常がないか作業を止めて確認することが必要です。また、下記のような挙動・姿勢は毛髪の落下に大きく影響します。製造に影響ないものは禁止・抑制し、致し方ないものは「毛髪対策上、非常に危険な状態である」ことを該当の従事者に理解・意識してもらうことが重要です。

落とさない原則 イメージ2