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プロフェッショナルに訊く 第10回 飲食店における有害生物対策(後編)

1. 被害防止のポイント

日常管理

有害生物からの被害を防止するために、日頃からいくつかのポイントを押さえることが重要である。そのポイントは近寄らせない、侵入させない、増殖させないの3つで、どれか一つで被害を防止することはできないが、組み合わせて行うことで十分被害を防止することができる。

●監視

有害生物はそれぞれが様々な運動能力を持っているため、その動向を常に監視することで、被害を最小限に食い止めることができる。次にその監視方法をいくつか紹介する。

●衛生教育

有害生物の種類、生活史や餌などの特徴を詳しく知っておくと、対策をとる上でのポイントを押さえやすい。種類によって、餌や好む環境は異なっているため、種類がわかることで問題点を絞りやすくなる。例えば、種類が判明すると生まれてから親になって子を産むまでの期間がわかることがある。その期間中に環境を改善すると増殖を抑えることができる。

2. 有害生物への対策

ここでは、主な有害生物対策を紹介する。大きく3つあるが、重要なのは3つの対策をバランスよく組み合わせることである。専門性が高い部分なので、専門業者と相談の上進めることをお勧めする。注意点として、偏った対策ではコストや時間といった負荷がかかることになる。

環境的対策

物理的対策

化学的対策

3. 専門業者や管理会社との連携

インターネットが普及しているいま、有害生物を駆除する方法や必要資材は容易に入手することができるので、店独自で行うことは不可能ではない。しかし、有害生物と一言でいってもその種類は膨大で、それぞれについての知識や対策方法などを、普段の仕事に加えて調べ、習得することは現実的ではない。専門的な知識を持ち、様々な現場で日頃から経験を積んでいる専門業者(PCO業者)に委託することが主流である。ただし、委託したから安心というわけではなく、店舗の状況を把握し、連携して取り組むことではじめて効果的に有害生物対策を行うことができる。
駆除施工後にPCO業者から施工内容についての報告と問題点、改善方法についての提案がなされる。主な提案の内容は清掃や設備の補修である。すぐに実施可能なものから、費用が発生し計画的に行わなければならないものなどさまざまであるが、連携の必要性を説くポイントはここである。施工によって有害生物は駆除されるが、PCO業者からの提案は再発防止策であるとご理解いただきたい。指摘と同じような汚れを放置しておくと、いずれ有害生物が再発生する可能性がある。そのような場所は普段の掃除メニューから漏れていることが多いので、掃除メニューを見直して同じような状態にならないようにするのである。
貸店舗やフードコートなどは建物を管理会社が管理し、管理会社がPCO業者に有害生物対策を業務委託しているケースがある。このケースで重要な連携ポイントは委託内容と調査結果を管理会社から教えてもらい、自身の店舗の予防管理につなげるということである。そのほか、隣接する店舗が駆除をすると、そこにいた有害生物が逃げてくることがある。事前に駆除情報があれば、必要な対策が打てる。また、店独自にPCO業者と委託し、異なる2社が関わるケースがある。この場合は施工日、施工内容を把握しておかなくてはせっかくの管理費用が無駄になることがあるので注意が必要である。無駄になる要因は大きく二つ、施工日と薬剤である。施工日が同日あるいは近日では2社が関わるメリットが半減してしまい、薬剤によっては効果を打ち消しあうことがある。逆に施工日と薬剤がわかれば、調査日を調整することで効率的に予防管理することができ、薬剤が持つ効果を発揮することができる。

4. まとめ

飲食店における有害生物対策として、有害生物対策の必要性と飲食店舗の有害生物対策上の特徴や問題点、さらに対策について解説した。当社はIPM(総合的有害生物管理)という手法を用いて有害生物対策を行っている。有害生物を殺虫剤で駆除して終わりにせず、問題が発生した要因を探り、様々な環境的、物理的、化学的対策を組み合わせて科学的に問題を解決する手法である。この手法の目的は、環境負荷を低減させ、持続的に効果を得ることである。問題の要因を探り、再発しないように予防管理が重要であること、有害生物対策には侵入防止、清掃、点検といった日常管理が欠かせないことをご理解いただけると幸いである。

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