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食品衛生の豆知識 -毛髪混入対策編-
「毛髪管理のための知識 その1」

イカリ消毒株式会社 
大音 稔

 今回から、「食品衛生の豆知識 PART 2」として、毛髪混入対策編をお届けします。
異物混入は多くの食品工場にとって、クレーム数のワースト1を争う存在ではないでしょうか。なかでも、「毛髪」は、昆虫、食品カスなどと並んで、混入事故事例が多く、混入させない対策が必要不可欠です。
 逆にいえば、「対策を立てているにもかかわらず、なかなか混入が減らない」のが毛髪でしょう。
 ではなぜ減らないのでしょうか?理由はさまざまあるかもしれませんが、案外、“敵”を知らないということが挙げられます。すなわち、対策を立てるべき敵である「毛髪」に関して、知らないことが多いまま対策を講じているため、効果的ではないということがいえるのです。そこで、まずは2回にわたって、“毛髪混入防止のための”毛髪の知識について、解説します。

1. なぜ、毛髪は混入するのか?

● 非常に単純なことですが、毛髪は「抜ける」から混入するのです。常に人間、つまり工場で働く従事者の頭や体にくっついていれば混入することはあり得ないのですが、毛髪は抜けてしまいます。

● では、どれほど抜けやすいものなのでしょう?毛髪をどれくらいの力で引っ張れば抜けてしまうのか調べたのが以下の表です。

● 平均すると1本当たりおよそ50gの引っ張る力には耐えられます。例えば1000本ほどの頭髪(頭全体の100分の1程度)を束ねて持つと、体重50kgくらいの人が持ち上がる強さなのです。つまり、そう簡単には抜けるものではないといえます。

なぜ、毛髪は混入するのか? イメージ

2. なぜ、毛髪は抜けるのか?

● 健康上の理由や体調の変化で抜け落ちることもありますが、多くの毛髪は「寿命」を迎えると抜け落ちます。

● 頭髪の場合、平均寿命は4〜6年です。その間、下記の図のように、生え始めてから抜け落ちていくのです。

なぜ、毛髪は抜けるのか? イメージ1

● 各部位によって、毛髪の寿命は異なります。基本的に短い毛の方が寿命も短いということがいえます。

なぜ、毛髪は抜けるのか? イメージ2

3. どれくらい抜けるのか?

● 頭髪で考えると、生えている面積・密度・寿命から、1日平均約55本/人、抜けると換算できます。

どれくらい抜けるのか? イメージ

● つまり、従事者数100名の工場であれば、1日当たり55本×100名=5500本の頭髪が抜けている計算になります。このうち、1本でも混入すれば、クレームに繋がる恐れがあるわけですから、毛髪混入防止は一筋縄ではいかないことがお分かりいただけるでしょう。